裁判所に納める費用について
裁判手続が必要な場合、事件によっては申立ての際に裁判所に予納金を納めることになります。
事件としては、例えば破産手続きや個人再生手続き、競売の申し立てなどです。
そして、裁判所は予納金という名目でお金を預かるわけですが、事件によって異なるものの。
通信費や官報公告費、鑑定士費用、管財人費用などなど、手続きを進めるにあたって要した費用を予納金から支払うことになります。
また、裁判所に納めるものとしては、手数料(訴訟印紙代)や予納郵券(郵便切手)などがありますが、予納金はこれとは別に必要となります。
参考までに、主な事件で必要な予納金の金額をあげておきます。
個人の破産 |
現金1万0584円 |
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個人の破産 |
1万3834円 |
大規模管財事件及び債権者申立事件 | 最低20万円を超える金額として負債額に応じて決定 |
不動産競売(土地又は建物1筆) | 40万円(1筆追加するごとに5万円UP) |
自動車競売 |
1台につき5万円 |
そして、これらの予納金については、事件によって異なりますが、基本的には申し立て受理後すぐに支払うものとなります。
というのも、裁判所は予納金が納付されなければ手続きを進められません。
ですから、予納金は申し立て前には準備しておくことになります。
予納金は戻ってくるの!?
例えば、上記の参考例に出した同時廃止及び小規模管財事件で納める予納金。
これは、官報公告費に充てられるため、戻ってくることはありません。
ですが、競売や大規模管財における予納金については、必要となる様々な支払いに利用されるため、場合によっては残ることもあります。
つまり、仮に70万円の予納金を納めたとして、必要な支出が60万円で済んだとすれば、差額の10万円は予納金を支払った方に還付されます。
また、給料を支払ってもらえない者が未払いの会社の破産申し立てをする場合(債権者申立事件)、債権者(給料を支払ってもらえない方)が予納金を納めることになりますが、これは給料よりも優先的に返金されます。
よって、会社に資産があれば、配当という形で戻ります。
ただし、会社の資産がない場合には、優先される管財人報酬が予納金から支払われるため、残りの金額だけが戻ることになります。
しかし、逆に予納金が不足することもあります。
裁判所も大まかにこれくらいの費用が必要と見積もって予納金額を設定するため、必ずしも手続きに必要な費用が最初に納めた予納金の範囲で留まるということではありません。
よって、不足が生じれば、足りない分は更に予納するように求められることになります。
つまり、よく「予納金は戻ってきますか?」「戻ってくるものですよね?」というような質問を受けますが、それは間違いです。
弁護士も戻ってくるかどうか分かりません。
弁護士は、あくまでも裁判所に提示された予納金を申立人にお伝えして請求しているにすぎないのです。