「割れもの注意ってちゃんと書いたでしょ?!」おばあちゃんが宅急便で孫へ入学祝いの地球儀を送ったら…真っ二つに!?当然、運送会社が弁償だよね?

はつえさんには、もうすぐ小学生になる初孫のだいごくんがいます。

だいごくんは、はつえんさんの娘みちこさんの子どもです。

はつえさんは、だいごくん家族とは離れて暮らしているため、普段はなかなか会うことができません。

ですが、可愛い初孫の小学校入学を何とかお祝いしてあげたいと考えていました。

はつえさんは誰かの為にプレゼントを選ぶことが大好きだったので、だいごくんが小学校で必要になるであろう鉛筆や消しゴム、ノートにハンカチと、たくさんの小物を買い溜めしていました。

しかし、どうにも『コレだ!!!』と思えるようなメインのプレゼントが見つけられなかったのです。

そんなはつえさんがある日買い物に出かけると、近所のちょっと大きな本屋さんに立派な地球儀が売っているのを見つけました。

はつえさんはその地球儀を一目で気に入り、その場ですぐに購入したのです。

思わぬ場所でだいごくんへの良い入学祝いの品が見つかったので、はつえさんはとても御機嫌でした。

孫のプレゼント

折角のだいごくんへのプレゼントなので、この地球儀も含め、これまでにこつこつと買い溜めていた小物等をまとめてお祝いの手紙と一緒に宅急便で郵送しようと考えたのです。

家に帰ったはつえさんは、一度地球儀の箱の包装を丁寧にあけて、小物類と手紙を箱の隙間を埋めるように詰めることにしました。

一度箱から取り出した地球儀を改めて見ると、やはりとても立派で、はつえさんは嬉しくなりました。

『そうだ!せっかくだから写真をとっておこう。』

はつえさんは自分の携帯で写メをとると、こっそりみちこさんにだけ写メ付きでメールをしました。

『だいごの入学祝を買ったよ。素敵な地球儀でしょう。だいごには内緒にしておいてね!』

『わぁ、すごい!これかなり高かったんじゃないの!?ありがとねー、だいご喜ぶよ♪』

みちこさんからも褒めてもらって、はつえさんはとても満足です。

早速、買っておいた文房具や手紙を箱の隙間につめて、また丁寧に梱包をしなおしました。

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そして、家のすぐ傍にあるコンビニから、宅急便でだいごくんの家へと発送手続きをしたのです。

その際、はつえさんは送付伝票に『雑貨類:割れもの注意』とだけ記載しました。

『地球儀』とはっきり書いてしまっては、箱を開けるまでにだいごくんに中身がバレてしまうと思ったからです。

それから数日、はつえさんはだいごくんがあの地球儀を受け取って喜んでくれる姿を想像して、とても幸せな気持ちでした。

ところが…はつえさんに届いたのは、とても残念な知らせだったのです!

きちんと梱包したはずの地球儀が真っ二つ?一体どういう運び方をしたの!?

コンビニで荷物を発送してから数日後、みちこさんから電話がかかってきたのです。

「あら、みちこ!どう?地球儀は届いたかしらー??」

「お母さん…実はね…」

電話にでたみちこさんは、何だかとっても暗い声です。

一体どうしたのかと、よく話を聞いてみると…

何と!

はつえさんがプレゼントしたあの地球儀が、真っ二つに割れた状態で届いたというのです!!

「え!真っ二つに?!そんな…私が箱詰めし直した時は、壊れてなんかいなかったのに…」

そう、はつえさんは、荷物を送る前に一度きちんと箱を開いて中身を確認しているのです。

そのため、買った商品自体が壊れていたというわけではありません。

「ね、そうだよね!!お母さん、送る前に写メくれたもんね。絶対運送会社が壊したんだよ!許せない!!」

みちこさんは、すっかり怒ってしまっているようです。

「ねぇ、お母さん!あの地球儀いくらしたの??レシートは持ってる??私が絶対に運送会社に弁償させるから心配しないでね!!」

さて、すっかりエキサイトしているみちこさんですが、今回のトラブルについて、法的にはどのような扱いになるのか、詳しく見ていきましょう。

今回のトラブルについて法的にはどうなるの?

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まず『地球儀が壊れてしまった原因はどこにあるのか?』という点については、今回、はつえさんは購入したばかりの商品の梱包を一度ほどき、完全な状態である地球儀をしっかりと写真におさめています。

これにより、『発送前に地球儀は壊れていなかった』ことがわかります。

では、『輸送中に壊れてしまったと思われる地球儀について、運送会社は弁償する義務があるのか?』という点はどうでしょう。

これについては、『宅急便約款』というものが関わってきます。

まず最初に、『約款』についてご説明していきましょう。

約款 保険や運送など不特定多数の利用者との契約を処理するため、あらかじめ定型的に定められた契約条項。保険約款・運送約款など。

上記の通り、『約款』というのは、たくさんの人が利用するサービスにおいて、その一人一人と、一から契約手続きを行うのではなく『こういう取り決めで契約をしますよ』と

事前に決まり事を決めたもののことを指します。

約款そのものは、あくまで『契約における取り決め』であって、『法律』ではありません。

そして、『宅急便約款』とは、各運送会社で定めている『宅配サービスを利用するうえでの契約条項』を指しています。

運送事業者は運送業を行う上で、必ずこの『宅急便約款』を作成し、国土交通大臣の認可を得なければならないと『貨物利用運送事業法』という法律で定められているのです。

では今回のケースの場合、『宅急便約款』のなかの、どのような条項が適用されるのでしょうか。

宅急便約款とは

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各運送会社によって詳細は異なってきますが、『宅急便約款』には基本的に大体同じような内容が記載されています。

今回のポイントである、輸送する品の『保障』については『1つの荷物につき、責任限度額30万円』と規定しているものがほとんどです。

ちなみに、皆さんはこの責任限度額が『荷物の送り状』にも記載されているのをご存知でしょうか?

普段私達が荷物を送る際には、送り状に送り先や自分の情報を記載しますよね。

その送り状の隅に、『宅急便の責任限度額は30万円です。』等いう文言が必ず記載されています。

是非、一度ご覧になってみてください。

30万円以上する品を郵送する際には要注意!!!壊れてから後悔しても遅い?!

その後、送り主であるはつえさんは、みちこさんのフォローのもと、運送会社と何度も話し合いをしました。

そして、『商品を買った時点では問題がなかったこと』。

そして『輸送の際は、商品がはいっていた緩衝材付きの箱に、買った時とほぼ同じ状態で梱包した』ということで、はつえさんの対応には問題がなかったことを強く主張しました。

その結果、『輸送中に壊れてしまったのは運送会社側に責任がある』と認め、地球儀を弁償してもらえることになったのです。

地球儀は元々2万3000円程度で購入したもので、運送会社にレシートを渡したところ、全額支払らってもらえました。

宅急便約款に記載されている『責任限度額30万円』には達していないため、全額弁償してもらえることになったのです。

このように、今回は荷物破損の責任所在が明確で、かつ、金額がそこまで大きくなかったので、約款に記載されている内容に従って、きちんと弁償してもらえました。

しかし、例えばこれが『30万円を超える品が壊された』というケースだったら、どうなっていたでしょうか?

60万円する高価なツボが輸送中に壊されてしまった場合

大変残念ではありますが、『宅急便約款』に記載されている通り、例え運送会社に過失があったとしても

『責任限度額30万円』以上の保障をしてもらうことはできないです。

普段私達は『約款』の存在についてあまり意識することはありませんが、運送会社側がきちんと事前に約款を提示している以上、私達はそれに同意したものとして、サービスを利用していることになります。

後から『約款なんか知らなかった!』と主張しても、補償額が増えることはありません。

もし、30万円以上する高価な品や美術品等を輸送しなければならない場合は、配送手続きをする際に荷物に『保険』をかけたり、『美術品専門輸送サービス』を利用するようにしたほうが安全でしょう。

荷物に保険をかければ、宅急便約款で規定されている『責任限度額30万円』を超えても補償受けることができます。

また、美術品専門輸送サービス等は、一般的な宅急便と異なり、精細で壊れやすい美術品の扱いに慣れたプロのサービスのもと、より丁寧に輸送されることになります。

高価な品や、万が一にも壊れては困るものを輸送する場合は『多分大丈夫だろう』等と楽観的に考えるのではなく、事前にしっかりとした対策をとることが大切なのです!

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