友人から預かったが品物とお金が盗難に遭いました!弁償の必要はあるの?

康之さんは、勤務先から出張を命じられました。

週末友人の俊也さんと飲みに行ったときにそのことを話すと、出張先はたまたま俊也さんの出身地であり、両親が住んでいるとのこと。

後日「母の古希の祝いの湯呑が入っているから渡してほしい。」と言って包みを預かりました。

その際「手間をかけてすまん。これはほんの気持ちだ。」と5千円手渡されました。

ところが出張の2日前に泥棒に入られ、康之さんは自分の現金やパソコンと一緒に預かった包みも盗られてしまいました。

警察に被害届を出すも盗られたものは出てこず、俊也さんに「預かった品物は弁償するから。」と謝ったところ、彼の妻が「夫婦茶碗と夫婦湯呑、他に旅行券10万円分と現金20万円が入っていた。茶碗と湯呑は1万円だったから、合わせて31万円弁償して。」と言うのです。

俊也さんも言いにくそうに「実はそうだったんだよ。こうなってしまったんだからあのとき渡した5千円も返してくれよな。」と言い出して・・・。

預かりものではあるし、包装もされていたため、預かった包みの中身は確認していません

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盗られてしまったのは申し訳ないと思いますが、施錠をしていたにもかかわらず、窓を割って盗みに入られたことを考えると、こちらに手落ちがあったとは到底思えません

このような場合、相手の主張する31万5千円を弁償しないといけないのでしょうか。

どうしても納得がいきません。

親切心が仇になりましたね。ふたりの友情が壊れないことを心から祈ります。

弁償しなきゃいけないの??

結果からお話すると、請求された旅行券代と現金20万円を弁償する必要はありません

さらにお祝いの品代の1万円についても支払う必要はないのです。

民法に「準委任契約」というものがありますが、今回友人と康之さんが結んだ「包みを預かって届ける」という事実行為を内容とする契約がそれにあたります。

それによると、康之さんが友人から受け取った5千円は手間賃ではなく、「準委任契約」の報酬であるということになります。

今回の契約は、泥棒が包みを持ち去ってしまい、届けようと思っても届けられない状態、つまり法律でいうところの「履行不能」になってしまったのです。

康之さんが家に施錠をしていなかった、あるいは誰でも盗れるところに放置していたなどの落ち度があって履行不能になったのなら、損害を賠償しなければなりません

しかし、今回のケースではそうとは考えられず、履行不能になったことについて、何の責任もない康之さんが損害を賠償しなくてはならないのは不合理だといえます。

民法では、このような場合を想定して規定をおいています。

危険負担」という規定なのですが、契約成立後康之さんに責任がないのに履行できなくなった場合、その責任を誰が取るのかということです。

これはその品物が特定物か否か、康之さんに履行不能につき責任があるかどうかによって変わってきます。

特定物とは、取引に際して、当事者がその物の個性に着目して指定した物をいうのですが、今回のケースでは中身が確認できない「包み」を渡されていることから、「湯呑」を届ける契約というよりはむしろ、湯呑の価値がある「包み」を届けるという契約をしていると考えられ、特定物であるといえます。

次に、泥棒が入って包みを盗まれたことについて、状況からして康之さんに落ち度があるとは言えないことから包みの紛失について責任は問えないということになります。

このような場合には民法536条1項という条文が適用されます。

今回康之さんは報酬を受け取ることはできません。

しかし、盗られてしまった包みの中身についても全く責任は取らなくてもいいということになります。

俊也さんからもらった5千円は返さなくてはなりませんが、それ以外には弁償する必要はありません。

もちろん1円も・・・。

気持ちの問題・・・

これは法律に法って考えた場合の結論なのですが、もし康之さんが「それでは申し訳ないから少しでも弁償するよ。」というのならそれはそれで構わないと思います。

今回は康之さんの親切が無駄になってしまっただけでなく、嫌な思いをさせてしまいましたね。

預けた人が窃盗犯に損害賠償を請求することは不可能ではないのですが、実際はほとんど行われないようです。

預けた俊也さんもまた窃盗の被害者であることを考えると、理不尽かなとも思いますが、大切なものは自分で届けるか、保険付きで配送業者に依頼するほうがいいかもしれませんね。

こんなことで友情が壊れてしまうなんて悲しすぎますから。

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